行政書士 西浦 邦子
日本行政書士会連合会 兵庫県行政書士会阪神支部
この記事の執筆者:行政書士 西浦 邦子
一般民事に精通した法の知識と実務経験で、行政書士業務を行っております。建設業許認可申請全般のサポート業務について許可取得のご相談から作成までワンストップで対応させていただいております。LGBTQなどのマイノリティと周囲の方のサポートも行っております。
相続土地国庫帰属制度は、宅地や田畑だけでなく、一般に境界が不明確になりやすい山林や森林についても申請が可能です。
ただし、山林・森林であればどのような状態でも引き取ってもらえるわけではなく、制度が定める承認要件を満たす必要があります。
具体的には、
- 国が引き取った後に過分な費用や労力を要しないなど、 帰属の承認要件に適合すること
- 申請時に、隣接地との境界が現地で確認できる状態にあること
この2点を満たす山林・森林のみが、帰属の承認の対象となります。
帰属の承認が得られない山林・森林について
相続土地国庫帰属制度では、国が引き取った後の管理に「過大な費用や労力が見込まれる土地」は承認されません。
山林・森林については、地形や施業状況により、国が引き取った後に大規模な整備が必要となる場合があり、そのような土地は制度の対象外となります。
過分な費用や労力が見込まれる土地とは?
以下のア~ウの3要件すべてに該当する土地については、帰属の承認をすることができません。
ア 主に森林として利用されている土地
イ その土地が存する市町村の区域に係る市町村森林整備計画に定められた、以下の(a)(b)の事項に適合しない土地
(a)造林樹種、造林の標準的な方法その他造林に関する事項
(b)間伐実施すべき標準的な林齢、間伐及び保有の標準的な方法
その他間伐及び保育の基準
ウ イの(a)及び(b)に適合するために、追加的に造林、間伐又は保育を実施する必要があると認められる土地
人工林で間伐などの保育が不十分なものや、天然林で標準伐期齢に達しておらず、今後更新作業が必要となる可能性が高いものは、いずれも国が引き取った後に相当の管理負担が生じるため、相続土地国庫帰属制度の承認対象とはなりません。
山林や森林の境界の判断方法について
相続土地国庫帰属制度を山林や森林に適用するためには、境界が明らかであることが必要ですが、申請時に高度な測量や境界確定図の提出までは求められていません。
法務局は、現地調査において次の2点を確認して判断します。
山林や森林の境界の判断方法について
- 隣接土地との境界が、既設の境界標・地物・仮杭などにより現地で確認できる状態にあること
- 申請者が認識する境界について、隣接土地所有者との間に争いがないこと
①については、
- 既設の境界標、杭、地形(尾根・沢)などにより境界を確認します。
- 確認が困難な場合は、隣接所有者の立会いのもと、新たに杭を設置します。
※仮杭を設置する際は、周囲から認識しやすいようポールやプレート等を併設し、コンクリート杭の場合は赤色のペンキ等で目印を付けると分かりやすくなります。 - 写真記録や測量図の整合性確認が必要となります。
②については、
- 申請者が認識する境界について、隣接土地所有者との間に争いがないこと。
隣接土地所有者から境界に関する意義が出た場合は、その内容を確認し、必要に応じて当事者間で協議を行い最終的に双方が同一の境界を認識している状態であることが求められます。



