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「LGBTQ理解増進法」の趣旨は

行政書士 ​西浦 邦子

行政書士 ​西浦 邦子

日本行政書士会連合会 兵庫県行政書士会阪神支部

この記事の執筆者:行政書士 ​西浦 邦子

一般民事に精通した法の知識と実務経験で、行政書士業務を行っております。建設業許認可申請全般のサポート業務について許可取得のご相談から作成までワンストップで対応させていただいております。LGBTQなどのマイノリティと周囲の方のサポートも行っております。

2023年6月23日に公布・施行された、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」は、性的指向やフェンダーアイデンティティに関する国民の理解を深めることを目的として法律です。この法律は、すべての人々がその性的指向やジェンダーアイデンティティに関わらず相互に尊重し合いながら共生する社会の実現を目指しています。

具体的には、国や地方公共団体が基本計画を策定し、企業や学校などが理解増進のため取り組みを行うことが求められています。罰則はなく、あくまで「努力義務」とされています。必ず対応すべき事項としては定められていないということです。ただし、施行後3年をめどとする見直し規程が定められており、2026年ごろをめどに改正が行われる可能性があります。

過去に行われてきた法改正では、パワーハラスメントは2020年の労働施策総合推進法改正で企業による防止措置が義務化され、同年発布された「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(いわゆるセクハラ防止指針)」では、職場におけるセクシュアルハラスメントは被害者の性的指向や性自認にかかわらず、同性に対するものを含むと明記されました。以上の職場環境における法改正の変遷を考慮すると、今後の法改正によっては、企業がLGBTQに対してより踏み込んだ対策を必要とされることも考えられます。